教員紹介

Profile

三浦 佳奈
専任講師
三浦 佳奈
MIURA Kana
共愛学園前橋国際大学国際社会学部専任講師。東北大学大学院生命科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。山形県立米沢栄養大学助手、福島学院大学短期大学部助教を経て2025年4月より現職。専門は生命科学、分子生物学、食品科学。学生時代に東北大学サイエンスエンジェルとして研究の傍ら、地域の子どもたちに科学の楽しさを伝える活動を始める。これまでに米沢栄養大学「もぐもぐラボ」、福島学院大学「はらくっちん」を立ち上げ、食や科学について楽しく学ぶことができるワークショップを実践。北海道大学CoSTEP13期選科B、15期研修科修了。

学生へメッセージ

大学での学びは、知識をたくさん覚えることだけがゴールではありません。大切なのは、習得した知識を活かしながら「自分で考え、自分で選び、行動する力」を少しずつ育てていくことです。私はそれが、幸せな人生を送る一歩になると考えています。

健康や環境のことも、多くの人が「大事」と知っているはずです。でも、それを行動に移すのは簡単ではありません。例えば甘いものが大好きで、つい食べすぎてしまう人がいたとします。体に良くないと知っていてもやめられないこともありますよね。けれど、続ければ命に関わると実感したり、代わりになる健康的なおやつが見つかったりすれば、行動が変わる人もいるかもしれません。つまり、人の行動を変えるきっかけは「正しい知識を持つこと」だけでは生まれないのです。

だから授業では、「じゃあ自分はどうしたい?」「自分ならどう選ぶ?」と皆さん自身に考えてもらいたいと思っています。人は誰かに言われて動くよりも、自分で「やってみよう」と思えたときに力を発揮します。私の授業では、その練習の場として、安心して意見を出せたり、失敗から学べたりする機会を大切にしながら、みなさんが挑戦できる環境を一緒に作っていきたいと思います。

私自身も、最初から「研究者になりたい!」と夢を描いていたわけではありません。理科が好きで理系の大学に進学し、研究に触れて「おもしろいな」と感じて大学院に進みましたが、正直に言うと「研究は自分に向いていないのでは」と悩むことの方が多かったです。それでも「おもしろい」と思える瞬間を大切に続けてきたら、気づけば研究者として歩んでいました。だから将来の夢がまだ見えていなくても大丈夫。迷ったり悩んだりしながらでも、「好きだな」「おもしろいな」と思えることを大切にしていけば、自然と道はつながっていくと私は思います。

これからの社会は変化が大きく、正解が一つとは限りません。だからこそ、自分の頭で考え、自分の足で行動する力が必要になります。大学生活の中で、その力を一緒に育てていきましょう。みなさんが自分の未来を自分で選び取れるよう、応援します。

研究内容について

私は「農産物の栽培環境と食品としてのおいしさや機能をつなぐ」ことを目指して研究しています。このテーマに出会うまでに、いろいろな分野に触れてきました。学部では工学の基礎を学びながら抗体の研究に取り組み、修士課程では植物の花の形を決める遺伝子を解析、博士課程では植物が紫外線から身を守るDNA修復のしくみとその進化をテーマに研究を進めました。その一方で、地域の子どもたちに科学の楽しさを伝えるワークショップを開いたり、高校生の研究指導を行ったりと、科学を社会と結びつける活動にも関わってきました。  

社会人として最初に着任した大学では、食品科学や栄養学と出会い、研究の視点を「食」へと広げました。当時助手として担当した食品加工実習で玄米を浸漬して発芽させる「発芽玄米の作製」に取り組み、品種によって発芽のスピードが異なることに気づきました。品種が違えば性質が違ってくるのは当然のことかもしれませんが、「同じイネでもこんなに多様なのか」と学生たちと一緒に驚き、生命の不思議を感じた瞬間でした。その小さな発見のワクワクが、現在の研究の出発点になっています。  

現在は米を中心に農産物を対象とし、品種や栽培条件によって成分や加工特性がどう変わるのかを解析しています。米(イネ)は、食卓にのぼれば「食品」ですが、理科の視点から見れば「植物=生き物」としての顔もあります。私はその両方の視点をつなげ、イネが健やかに育つ条件と、人が米や米粉を美味しく健康的に利用できる未来とを見すえて研究を続けています。並行して、ブルーベリーなど果実類の機能性についても調べており、今後は群馬をはじめ地域の特色ある農産物へと対象を広げたいと考えています。  

そしてもう一つ大切にしているのが、研究や科学と社会をつなぐことです。私たちが幸せな人生を送るためには、「答えを教わる」ことや「他人の意見や情報を鵜呑みにする」だけではなく、「自分で考え、自分で選ぶこと」が大切だと思います。その思いから、人々が物事について考えるきっかけを届けたいと願い、食や健康、環境問題をテーマにしたワークショップやゲーム教材をつくってきました。楽しく学べる場を広げることで、学習者が「自分ごと」として科学を感じ、自然に行動を選びたくなるような体験を、これからも届けていきたいと考えています。

担当科目

基礎演習Ⅰ・Ⅱ 地域食育実践

所属する機構/コースの教員一覧

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